
三国は淡水のプール型水面で水質は硬い。1マークからスタンドまでの距離があるので、アウトからまくろうとしても、内側の選手に合わされてしまう。基本的にインの強い水面である。ただ、モーターは1年近く使用されているため、性能差が出ている。モーターの裏づけがなければ、インからのスタートは届かない。スタートを決めても、ターンで前に押さなければ、差されるケースが多くなり、イン実績のない選手は成績がまとめられない。重要になってくるのは近況が好調かどうかである。なぜなら近況好調な選手は、モーターを出してくる選手が多いからだ。
モーターの仕上がりとイン実績。この2つの条件をそろえていれば、軸艇信頼のレースになる。その見極めが舟券作戦の基本中の基本だ。
また、5、6号艇の動向にも注意を払いたい。ピットから2マークまでの距離があるので、ピット離れが良ければインを取れる。ただ、前付けがあるようなレースは荒れる。展示タイムの良い選手がカドを取れば、まくりに出て、それに乗ったまくり差しが決まり高配当が飛び出す。

夏場は海風が吹き、1年を通して追い風の日が多い三国だが、冬場の季節風はさらに強い追い風になる。今年の冬は厳しく、雪が降る前日などは追い風がきつかったが、3月になると天候は穏やかになるので日によって風向きに変化が起きる。
風向きが変わると、選手はスタート勘の修正をしなければならない。ターンの初動位置が変わり、レースの流れに変化が起きる。特に、追い風が強いとスタートが難しくなる。思い切ってスリットに突っ込めないので、ダッシュ組は不利になり、どうしてもインが主導権を握るようなレース展開になるが、必ずしもイン絶対ではない。というのも、強い追い風になるとインから先に回ってもボートが暴れ、まくりも流れ気味になり、差しに絞った選手が抜け出してくる。荒れる1マークを制するのは波を突っ切る出足関係の強いモーターだ。

毎年4月がモーターとボートの更新時期である。3月といえば、ボートも1年近く使用して重量が重くなっている。ボートは木製品なので、水を吸って1カ月に500グラム重くなるので、初使用時と比較すると5キロ近く重量が増している。冬場は気温が低いのでシリーズに入ってからの乾燥状態が良くない。
ボートは2カ月ごとに性能の均質化を図っているものの、レースで水を吸うと性能差が出やすくなる。事故の多い、修理を何度も受けたボートは、バランスが悪く、直線でも引きずる。そうしたボートはスタートで遅れがちになるため、横一線のスリットが崩れやすくなり、まくり差しが決まる確率が高い。勝率の低いボートがあると、どうしてもレースが荒れる。これは、意外と見落としがちな点である。


今年の初夢賞を優勝した勢いで、唐津周年、宮島周年で連続優勝した。宮島周年では、インを取った速攻派の市川哲也を3コースから一気にまくっている。 インでの強さはもちろんだが、センターからのまくりが決まるということは、モーター出しのレベルが高いことにもなる。 今垣の調子を判断する要素の一つはスタートの切れ味。出足関係の仕上がりがストレートにタイミングに現れてくる。


一昨年は140勝、昨年は124勝を挙げて2年連続して最多勝をマークした。好調さの要因はプロペラが合うことだというが、勝野が基本にしているのは伸びである。スタートを決めてから伸びるので1マークの展開が見える。さらに、節中に入ってから伸び型のプロペラに出足をつけていくので、展開を突けるようになり、成績が安定する。


昨年12月に常滑で完全優勝を飾り、6回目のパーフェクトVを果たした。今年に入ってからは1月の蒲郡で優勝している。インからのレースに完成度の高さがあるが、センターに回っても安定感がある。以前はセンターに回ると全速で攻めようとしていたが、最近は差しに構え、結果ターンマーク際をきれいに差す。大味なレースが減り、安定した強さを見せるようになってきた。今節、予選突破の確率は高い。

※勝野竜司選手は帰郷となりました。